フランク・クーパーやダンディマーマレードポットの正面には必ず 'Seville Orange'という文字があるのをお気づきでしょうか。この「セビリアオレンジ」実はスペインの特産で、皮はまろやかな芳香を放ち、実はとにかくすっぱ い（生で食べようなんてゆめゆめ考えないでください）ために、マーマレードに大変適した種類のオレンジなのです。冷凍技術の進歩によって長期間の冷凍保存 が可能になりましたが、本来は1月から2月のわずかな時期にしか出回らない貴重なオレンジです。皮はカモのロースト料理に添えられるなど（甘いオレンジは 適さない）、ヨーロッパではジャムだけでなく、デザートやメインディッシュにもよく使われます。このセビリアオレンジを原料としたマーマレードの大手メー カーであったフランク・クーパーは、イギリス・オックスフォードで父親から受け継いだグロサリーストアを営んでいました。1874年、フランクの妻サラ は、家族が消費する分よりはるかに多く マーマレードを作ってしまいました。そこでフランクが陶器のビンにその「余った」マーマレードを詰めて売ったところ、これが大評判。フランクは次の年も マーマレードを売り、さらに評判になったので工場を作り、オフィスを作り、会社を拡張していきました。フランクの卓越した営業手腕は、工場におけるマーマ レードの効率良い製造過程や、自分の名を冠した「フランク・クーパー」というブランドをつくりあげた今で言う「ブランド力」に表れています。1890年に なると、彼はマーマレードだけでなく、ジャム、ゼリー、瓶詰めフルーツも販売し、「Prince of Wales」の御用達としてロイヤルティーを拝しました。しかし、フランクが1927年に亡くなってからBrown&Polson(陶器 のモールドで有名ですね）に営業権を売却してマーマレード業務から一線を退きました。1985年、フランクの父親の店があったオックスフォードのハイ通り にフランク・クーパー・ミュージーアムができ、訪れる人は当時の店構えや陶器の変遷を伺い知ることができます。ところで土の中に長い間埋もれていたポットをキレイにする方法はなんだと思いますか？？イギリスの友人に教えてもらったのですが、一番きれいになる洗剤 は入れ歯磨きなのだそうです*^-^*