ご存知、Home PrideのFlour（小麦粉）缶Cake（ケーキ）缶、Bread（パン）缶、です。製粉会社のHome Prideは、1920年頃に創立された会社です。工場は主にイギリスのケンブリッジ、コヴェントリー、バーケンヘッドにありました。色はグリーンとクリーム、グレイなどがあり、多く見られるのは、霜降りのようなまだら模様です。意匠のバリエーションはさまざまで、鋳鉄の厚みや取っ手、それに字体が微妙に違いますが、それらは作られた時代を知る鍵になります。写真のクリーム色の缶は、作られた当時はかなり黄色に近いクリーム色だったと推察されます。ところが時代を経たお陰で、Pinoco好みのベージュに変わってきています。鋳鉄にガラスの釉薬を何度も吹き付けたホーローとは違い、色落ちしたり、引っかき傷に弱く、そこから錆びが出やすく（外の物入れに置いていたこの缶が、梅雨が終わって見てみるとさびさびになっていて、泣くに泣けなかった、ということがありました）、時代と共に塗ってある色が薄く剥がれてくることもあり、保存はホーローより難しいですが、その脆さがかえって魅力だったりして。衝撃には比較的強いとされています。